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中小企業経営者の判断力・決断力を高める決算書の読み方と勘所

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企業経営者は、日々自らが経営上の判断をし、決断し、行動しています。中小企業の経営は、株主でもあり代表取締役でもある経営者の一存にかかっているといっても過言ではありません。会社を発展させるためには、社長の「判断力と決断力」、この2つのパワーを高める必要があります。そしてそのパワーを高めるひとつの方法が、データに基づいて考え、判断するということです。

経営者が理解すべきデータは様々ありますが、その中でも特に重要なデータが、毎年会社の決算期に作成される決算報告書(以下、「決算書」といいます。)です。判断力と決断力を高め、会社を発展させていきたいという意欲あふれる経営者にとってはずせない決算書の読み方と理解の勘所について、重要なポイントに絞って、数回のシリーズでお話ししていきます。

決算書について

中小企業経営者の中には、数字の羅列に苦手意識をもつ方も多いかもしれません。数字の羅列の代表的な書類が、毎年会社の決算期に作成される決算書や税務申告書です。年1回の決算は必ずされていると思います。たとえば、9月が決算期であれば、前年の10月1月から当年の9月30日までの1年間の売上や経費を計算して、利益または損失を算出し、自社でまたは税理士に依頼して決算書や申告書を作成し税務申告を行います。

経営者には、決算書の内容や仕組みをよく理解していて、それを会社経営に活かしている方々も多くいます。一方で、顧問契約をしている税理士事務所や会計事務所にまかせっきりで、中味をほとんど理解されていない経営者も時々お見掛けします。

確かに会社の決算書は、一見難しそうな専門用語と数字の羅列のオンパレードで、とっつきにくそうな印象があります。しかも、決算書の内容や仕組みを知りたいと思っても、今さら恥ずかしくて聞くことがはばかれるということもあるかもしれません。しかし、決算書は単なる数字の羅列ではなく、企業経営にとって重要な意味合いをもつデータの集合体なのです。

したがって、決算書をこれまで敬遠されてきた経営者の方にはぜひこの機会に基本的な決算書の読み方をマスターしていただきと思います。

今回から、「経営者の判断力、決断力を高めるために理解すべき経営データ」をテーマに、自社の決算書が読めるようになるための勘所、ポイントをお話しします。決算書に出てくる用語や数字、全体の構造は、いわば「決まりごと」ですから一度理解してしまうと、決算書の全体像や相互のつながりがはっきりと見えるようになります。ぜひ、トライしてみてください。

では、早速始めていきましょう。

第1回目は、「決算書について」です。決算書は専門用語では「財務諸表」といいます。ここでは、ふだんから使っていてなじみのある「決算書」と呼ぶことにします。

まず理解すべき決算書の内訳は2種類でOK

中小企業経営者の皆さんは、決算書と言うと、次の2つの書類が思い浮かぶと思います。一つは「損益計算書(英語ではプロフィットアンドロスステイトメント:PL)」、もう一つは「貸借対照表(同じくバランスシート:BS)」です。税務申告書に添付する決算書では通常、貸借対照表、損益計算書の順で並べられています。

損益計算書について

経営者は、損益計算書についてはよくご存知の方が多いです。損益計算書は、一番上に売上高があり、一番下に当期純利益があります。「当社の今期の売上高は3億5000万円で、利益は1,200万円だった。」といった具合です。その間には、製造原価、販売及び一般管理費、営業外収益や特別損失などいろいろな会計用語や数字が書かれていますが、そこはあまり意識して見ていないかもしれません。

売上は前年と比べて増加したのか、減少したのかは当然関心がありますし、利益については銀行借入れをしている企業であれば気になるところですし、また法人税等の計算のもとにもなりますからこちらも当然経営者にとって関心が高い数字です。

したがって、まずこの2つの数字はまずはしっかりと理解する必要があります。

では、この2つの数字、売上と利益とはどのようなものでしょうか?

売上については経営者の皆さんはよくご存知かと思います。では利益の方はどうでしょう?決算書には以下の5つの「利益」が書かれていますが、どのようなものか区別して理解することが必要です。それぞれが経営上のデータとして重要な意味をもつからです。

  1. 売上総利益
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. 当期純利益

これらの詳細は、多少長くなりますので次回以降のコラムでご説明します。

貸借対照表について

決算書のもうひとつは貸借対照表です。一般的にバランスシートとも呼ばれます。

損益計算書が1年間の売上や利益がどうだったかを表す、いわば1年間の経営成績であるのに対し、貸借対照表は、決算期、たとえば9月30日における会社の財政状況を表しています。

財政状況とは、決算日その日現在の資産、負債と資本の状況のことです。

貸借対照表は一般的に左側と右側に分かれていて、右側上部の「負債」とは資金の調達状況を表しています。例えば、銀行からの借入れ残高や取引先への買掛金や未払金の残高などです。右側下部の「資本」は、左側の「資産」と右側上部の「負債」との差額で、現在の資本金や今までの利益の蓄積がどれぐらいあるのかなどを表しています。資本は「純資産」ともいいます。

左側の「資産」とは、調達してきたお金の運用状況(使い方)を表しています。現金や銀行預金はいくらもっているか、売掛金や貸付金はいくらあるか、商品や仕掛品、原材料などの棚卸資産はいくらもっているのかなどを表します。

貸借対照表とは、決算日現在に会社がもつ資産や負債、資本の状況を表している、いわば過去から現在までの経営状況を表していますので、その会社の変遷、現状や将来性を判断するデータの宝庫であるため、金融機関も当然重要視しますし、経営者としても判断力・決断力を高めるための重要なデータがぎっしり詰まっている書類なのです。この貸借対照表についての読み方と勘所についても、次回以降のコラムで詳しくお話ししていきます。

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