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税理士の報酬の現状と展望

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税理士事務所の報酬

税理士の報酬は、現在自由化されているため、基本的には需要と供給の関係で決まりますが、実際にはおおよその相場というものがあります。いくつか税理士事務所が公開しているホームページなどを見ると、多くの税理士が個人、法人とともに顧問先の年間売上高をもとに決めているようです。

また、顧問料と記帳代行は月額報酬として、決算申告、消費税申告、年末調整などは年1回の報酬としている税理士事務所が多いのが分かります。

売上の決まり方

税理士事務所の顧問料は、基本的には月額報酬×12ヶ月+年次報酬です。それに顧問先数を掛けた金額が年間売上になります。

売上高は、次の方程式で表すことができます。

売上高 = 顧客単価 × 顧客数

この式において、「月額報酬×12ヶ月+年次報酬」が一社(者)あたりの顧客単価、顧問先数は顧客数となります。

つまり、税理士事務所の売上高をUPさせていくためには、顧客単価を上げるか、顧客数を増やしていかねばならないということです。

税理士事務所の売上高の現状

ではまず、税理士の近年の年収推移についてみてみたいと思います。

少し古いデータですが、厚生労働省が2014年に公開した「賃金構造基本統計調査」によると、税理士の年収の平均は716万円となっています。この数字は、9年前の2005年の年収平均741万円と比較すると年間25万円の減少、近年で最高だった2009年の1,037万円と比較すると100万円以上の減少ということになります。

このデータから読み取れることは、税理士の年収は右肩上がりとはいかず、頭打ち時の状態が続いているということです。昨今の経済状況から判断しても、年収の劇的な増加は今後も期待できないと思われます。

そのことを顧客単価と顧客数に分けて考えたいと思います。

顧客単価は上げられるのか?

では、顧客単価について考えてみたいと思います。

税理士の中心的な業務は、一般的には毎月の記帳代行や税務相談、年1回の申告書作成や年末調整です。

これらの業務の単価はどのようにすれば上げられるでしょうか?

顧問先が税理士業務を請け負ったときと比べて成長し、業務量が大幅に増えれば、値上げ交渉はしやすいでしょう。また、顧問先が課税事業者となり消費税の申告が必要になったときなども値上げ交渉ができる可能性があります。

しかし、そのようなきっかけがない場合は、値上げ交渉は難しいのが現状です。

しかも今後は、記帳代行業務は、「AI仕訳」などによって「自動化」され、顧客が自ら社内で簡単にできるようになります。税理士の業務は仕訳されたものをチェックするという業務だけに縮小されていくことでしょう。

この場合、顧客単価はどうなるでしょうか? 顧客単価は上がる余地のないことが、容易に想像できます。

また、税務相談も今までと同様であれば、UPの可能性はないと思われます。

顧客数、顧問先は増やせるのか?

次に、売上のもう一つの要素である顧客数ですが、これは新規顧客数とリピート数を足したものです。税理士業務は基本的にリピートする業務ですので、新規顧客の数を増やしていくことが大切です。

新規顧客の数を増やすためには、新しい企業の数が増えるか、もしくは税理士の数が減らなければなりません。

税理士を取り巻く環境を見てみると、税理士の登録者数は2018年11月末現在、7万7,756人、2019年には8万人を超える見込みです。一方で、税理士の主要な顧客である企業については、2014年に約380万社でしたが、それより5年前の2009年の約420万社から40万社減少しています。現在も企業数はほぼ横ばいです(中小企業白書2017年版)。

つまり、税理士の顧客である企業数は増加していないにも関わらず、税理士の数は増え続けています。要は、市場は飽和状態、パイの奪い合いとなっているのが現状といえるのです。

このような市場が飽和状態の場合、どのようなことが起こるかといえば、多くの税理士が新規顧客を獲得するために顧問料を下げ、価格競争に挑んでいきます。しかし、価格競争の末路は、格安で仕事を引き受けた結果、日々大量の業務をこなさなければならず、現場は疲弊していくことになります。まさしく薄利多売です。

従って、ただやみくもに顧客数を増やしていくことは、健全な税理士事務所経営の観点から見ると明らかなリスク要因といえます。

では、このような現状の税理士がどうしたら価格競争に巻き込まれずに売上を増やすことができるのか?

そのヒントは、税理士としてのスキルの差別化にあります。このことについては、次回のテーマ「税理士が報酬をUPしていくためのポイント」にてお話しさせていただきます。

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